肘折温泉の共同浴場、上の湯、疝気湯、河原湯の３箇所（こちらは有料）を巡る予定だったのに、コロナ禍で疝気湯、河原湯が利用不可に。
泣く泣く上の湯だけを満喫。
時間が余ったので、肘折温泉からちょっと離れた場所にある温泉の旅館跡に向かいました。
麓の村から谷間を登って行きますと、すぐに細い砕石道となります。
路肩が崩れかかっているところもあるので注意しながら運転。
途中、道路脇に立派な男根が、崩れた鳥居と共に見えてきます。
御供物があることから、この周辺でも男根崇拝が根付いているんでしょうね。
もちろん、将来のことを鑑み、篤くお祈りしておきました。
山間に羊腸のように延びた道を進んでいきますと、ローピングがされて車では進めなくなりますので、そこからは徒歩で向かいます。
地図で見ると、目的地までは500mほど。
歩き始めてすぐに、最近改修されたような場所が。
事前情報では、道が完全に崩落しているとあったのですが、おそらくここかと。
この先は廃旅館と登山道だけ。
それのみのために、これだけの改修工事したのかな？
最後に門扉が見えてきます。
十数年前に旅館が廃業してからは、立ち入り禁止の看板が立ち、門扉が閉じられて、敷地内に足を踏み入ることができない状態だったので、今まで諦めていました。
しかし、最近の情報では門扉も開かれ、看板も撤去されており、登山客も廃旅館に立ち寄っているとの情報があったので、今回訪れてみた次第です。
さぁ、感情が昂りつつ厳かな気分の中、進んでいきますと、目的の廃旅館が見えてきました。
廃旅館の正面玄関でしょうか。
旅館名はぼかしていますが、温泉マニアの方なら、この写真ですぐわかるでしょうね。
ありし日の宿は、立寄り湯などは行っておらず、長期間宿泊しないと温泉に入ることができなかったそうです。
なぜかというと、こちらは重度の病気を療養するための湯治宿でして、長期間宿泊した上で、病を治癒させるために神仏にお祈りしながら湯浴みしていたそうです。
宿舎の右隣には、家屋はなく基礎のみが残った場所が見えます。
基礎の方に向かう途中には、御神燈と記された仏塔が残されています。
ここからは聖域なのでしょう、しっかりと手を合わして進みます。
一段高い場所に登ると、湯船が見えてきました。
こちらが温泉の湯船です。
ここで昔、病の治癒・寛解を期待して多くの方々が神仏にお祈りしながら入湯していたそうです。
西洋医学が発達した現代では、もう見ることができなくなった風景ですが、大昔は各地でこのような湯治があったんでしょうね。
あっ、福島県の西山温泉 老沢温泉旅館は、まだ名残がありますね。
閑話休題。
湯は石垣の上から配管で流れてきます。
湯温は35.4℃、飲泉しますと薄味ですが、鹹味、アブラ、出汁、甘味、硫化水素臭がほんのりしてきます。
私は生活習慣病に引っ掛かりつつあるので飲泉、ツレは足に痺れがあるので足湯させていただきました。
もちろんしっかりとお祈りしながらですよ。
