秋田県北部に位置する大湯温泉は、約800年前に開湯されたと伝えられる、歴史ある名湯。
かつてこの地域一帯には多くの鉱山が点在しており、昭和初期までは鉱山労働者たちで賑わっていたそうです。
また、太平洋戦争中にはこの地が疎開先として注目され、都市部から多くの人々が避難してきた歴史もあります。
自然豊かな山間の温泉地である大湯温泉は、かつては鉱山で働く坑夫たちの疲れを癒す場であり、また戦時中には都市部から疎開してきた人々にとっても、心と体が安らげる場所だったんでしょうね。
現在も、湯量豊富なナトリウム塩化物泉を楽しめる4か所の共同浴場が健在です。
そのうち3か所では、無料で源泉を汲むこともでき、地元の人々に親しまれています。
「上の湯浴場」

200円を支払って、湯船にゆっくり浸かります。
大湯温泉は熱めの湯で知られており、地元の方々は水でうめず、そのままの熱さを楽しむのが流儀だそうです。


湯上がり後、浴場建物横にあるのがこちら。

四角い枡には木製の蓋がかけられ、蓋の上には柄杓や漏斗がきちんと用意されています。

地元の人々は飲泉として汲むんかな?

蓋をそっと開けると、中には高温のお湯がたっぷりと湛えられており、熱い湯気が勢いよく立ち上って顔を直撃します。

「下の湯浴場」
その歴史は古く、1469年の文献にもその名が記されているそうです。

あいにく、入浴されている方がおられたので、浴場内は以下をご参照くださいな。
https://maps.app.goo.gl/b1V4fiSsqtcjU2r27?g_st=ipc
無料汲み場は、浴場の裏手にひっそりと設けられたこの場所。
年季の入った枡に取り付けられた蛇口をひねると、ドボドボと勢いよく、熱々の湯が音を立てて流れ出してきますよ。

「川原の湯浴場」

浴場内はとてもシンプルな造りで、余計な装飾が一切ないぶん、じっくりと湯の心地よさを味わうことができます(同じく熱いけどね)。


浴場の通りを挟んだ向かい側には、昔ながらの井戸のような枡がぽつんとあります。

残念ながら、その時は湯が張られていませんでした。
たまたまだったのか、それとも普段から湯は溜まっていないのか…どうなんだろ?

「荒瀬共同浴場」
ちなみに汲み湯はできませんが、大湯温泉で最も評価が高いのが「荒瀬共同浴場」。
その理由は、なんといっても足元湧出だから。
湯船の底に敷かれたスノコ板の下から、熱々で新鮮な塩化物泉がふつふつと湧き上がり、できたてのお湯をそのまま楽しめる贅沢な浴場でっす。

